小峰秀孝さんのこと

被爆者・小峰秀孝さん(83)が亡くなった。日本被団協=日本原水爆被害者団体協議会=のノーベル平和賞受賞の報を確認するかのように。

4歳10か月で長崎で被爆「中学しか出ていない、知恵も教養もない私」が原爆という悪魔に翻弄された人生を見つめ、記した著書「じいちゃんその足どんげんしたと」。

『夫婦喧嘩の際、妻が「あんたの足腐れて、腐れ足」と何度も言われた』のくだりは、身につまされる。偏見・差別、いじめ、離婚、子供の反目などの半生を赤裸々に書いている。

今、世界には戦争の恐ろしさを体験した為政者(トップ)がいない。戦争を知らない、痛みを知らない世代だ。ロシアの侵攻以来、反目しあう国・地域同士の侵攻・紛争が続いている。「世界の警察官」不在に加えて各々の国・地域の「自国ファースト至上」の流れがはびこる。独裁、覇権、戦争の火種になりかねない。

「永田町の人間はしもじもの人間のこと何も分かっていない」小峰さんの言葉は重い。巻末で「(別れた妻に)3人の子供を作ってくれてありがとう」と感謝の言葉を残している。

ご冥福をお祈りします。合掌。

原爆の熱線で焼かれ変形した右足(1948年8月撮影、 足の甲の黒い部分は盛り上がったケロイドを削り取った痕)=著書から引用。

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