中国が台湾へ上陸?
読売7月18日朝刊を見て驚いた。「中国が台湾に1週間以内に上陸する」と大半の読者は思っただろう。見出し内に「日本政府分析」と断りがあるが小さく目立たない。記事の趣旨は中見出し「日米の迅速対応 焦点」だと思う。それにしてもこの見出しは誤解を招き不適だ。
記事も分からない点が多い。「日本政府が中国軍の昨年の演習を分析した結果、最短1週間以内に地上部隊を台湾に上陸させる能力を有していることがわかった」とあるが分かったのは勿論、読売記者ではない。中国軍備取材は不可能に近くデータ・資料も不十分だ。政府防衛関係者からのリークとしか考えられない。ということは「書かされた」とみる方が当を得ている。
続いて「政府は従来、(台湾上陸は)1か月程度を要すると見積もっていた」と書いている。本当は前述のリーク先の「見通しが甘かった」だけの話である。で、なぜ情報を出したか。中見出しにあるように日本も迅速な対応が不可欠を主張することに力点がある。裏をかえせば「日本は自国を守るためにも防衛力の更なる進化が必要」と主張している。そこで一番信用されている読売新聞を利用したのではないか――穿った見方もできる。
同じく同日朝刊の中面に中国の軍事施設の衛星画像分析を掲載しているが記事に驚く。「(中国の対台湾)……とみられる」「可能性がある」「うかがえる」「と思われる」推測表現が数十か所ある。単刀直入の表現を避けたのは理解できるが中身はほとんど「断定」口調。1面の裏付け記事にしてはお粗末すぎた。
ウクライナ、中東の終わらぬ戦禍の中、日本がノンポリで生きていける時代ではない。現実をみない平和偏向論に国家の未来はない。先の敗戦を国民全体が顧みて国全体の総意として現在の平和を築いた。現在も、そして未来も強力な防衛力と国民の英知が最も必要と私は思っている。
世界一の発行部数の読売新聞に理論付託・頼る期待は大きい。それだけにこの日の1面トップ記事は、見出し、記事ともセンセーショナルすぎ、冷静さを欠き落胆した。
新聞は記事内容によってはストレートな見出しではなく、“曖昧模糊”とした見出しでよい場合がある。読売当日紙面の右の見出しは私なり凡庸で曖昧模糊とした見出しを作ってみた。
久しぶりに新聞の見出しに疑問を持つブログを拝見しました。
今ニュースはネットで集める時代ですね。私もYoutubeをよく見ていますが、アクセス数稼ぎの釣り見出しに溢れています。新聞・テレビでそんな事は無いのかと思いきや、ほとんどのマスコミも解説者も左翼思想一辺倒です。
記事本文では『日本政府が中国軍の昨年の演習を分析した結果、最短で1週間以内に、地上部隊を台湾に上陸させる能力を有していることがわかった。 政府は従来、1か月程度を要すると見積もっていた。』となっており、一週間以内に台湾侵攻が始まるとはどこにも書いていません。それなのに、こんな釣り見出しを付ける神経は理解できません。
ウクライナ侵攻が起きた時、米軍は動きませんでした。台湾侵攻が起きても、日本が中国に侵攻されても、米軍は動かないでしょう。自分の国は自分で守る気概の無い国は亡びるだけだと思うのですが。